紫色の静かな湖がありました。
特に荒く波立つこともなく、美しいその紫色の水は辺りの景色に反射して、白い山々を美しく染め上げ、白い花々を優しい色に照らしています。 その水の底には宝があると言われていましたが、湖の精はこのままでいいと願いました。この完璧な美しさを壊してまで手に入れるものの価値はそれほどないと思っていたのです。
ある静な夜、突然強い光が空から落ちてきました。明るく金色に輝く流れ星は一瞬のうちに湖の底まで進み、その深い紫色の水底を隅々まで照らしたのです。
湖の精は、最初その光の眩しさに戸惑い、
「なんてこと……静かな美しさが壊れてしまう」
と涙を流しました。
光は湖の底に届き、そして広がり、湖の底にあった宝石のような石たちが、光に照らされてキラキラと輝き始めました。
「こんな色が、わたしの中にあったの?」湖の精は驚きました。
さらに、今まで気づかなかった水草のゆらぎ、小さな魚たちの舞い、空を映す鏡のような水面……
すべてが、光と出会ったことで生き生きとし始めたのです。湖の静けさは消えたわけではありませんでした。むしろその奥に、カラフルであたたかな命の交響曲が息づいていることに気づいたのでした。それは静けさの中に宿る、本当の豊かさでした。
だから今、あなたが心の湖に変化の光が差し込むのを恐れていても、大丈夫なのかもしれません。そこにはきっと、あなただけの虹色の宝物が眠ってることでしょう