アンダラクリスタル ミルキーピンク「ピンクの貝と人魚のお妃様のお話」

アンダラクリスタル ミルキーピンク「ピンクの貝と人魚のお妃様のお話」

ピンクの貝殻が敷き詰められた、海岸がありました。ここのお水は、この貝がたくさんいるので、お水がうっすらとピンク色に見えます。夕焼けの時間になると、そのピンク色は一層輝き、あたり一面優しいエネルギーで満たされます。
この海岸には時々人魚がやってきます。大体一人でやってくることが多いのです。人魚たちにとってはこの海岸は一人優しい気持ちになるための場所でした。色々な決まり事や、やってはいけないこと、やらなくてはいけないことに疲れるとここに来たくなるのです。海の中の魔法は危険なものも多いので、人魚たちはいつも気をつけていることがたくさんあるのでしょう。

昔この海岸は普通の海岸でした。青い波がどこまでも続く、輝く白い砂のありふれた海岸でした。 ある時、人魚のお妃様がここを通りがかりました。 自分はとても王妃である自信がないと、彼女はいつも自分に厳しくしてきました。たくさんの命を預かる海の王族として、自分はあまりにもできないことが多すぎるのです。
お妃様は、とても勇ましい顔つきであちこちに目を光らせていました。どこかに不備があってはならない、全てに調和が保たれていなければならないのです。少しでも不穏なエネルギーを感じたら、改善していかなくてはなりません。 お妃様は、手にピンクの貝を一つ持っていました。この貝は一度自分にとって住み良い場所だとわかると大量に増えてしまい、あたりの環境を変えてしまうので、厄介な貝だと人魚の間では嫌われていました。お妃様は、さっきこの貝を見つけたので別の場所に持っていくために手のひらにしっかりと握っていました。

さてお妃様は、このありふれた海岸で少し疲れて、岩陰に佇みうとうとしてきました。お妃様は、目を閉じ、夢の中へ落ちていきます。その時この貝を手から落としてしまいました。貝はキラキラと光が当たる白い砂の海底へ落ちた瞬間にここが気に入り、たちまち増え始めました。お妃様が気づいた時には、あたり一面ピンク色の貝が敷き詰められた状態になっていたのです。

「なんてことをしてしまったのでしょう」

お妃様は真っ青になって、ピンクの貝を拾い集めようとします。けれど、それが何になるでしょう。貝が増えていくスピードには全く追いつけません。お妃様は自分を責めました。

「私がちゃんとしっかりしてないからこんなことに……やはり私は王妃として失格だわ。」

お妃様は真っ青になって、必死に貝を拾い集めようとしました。でも、どれだけ手を伸ばしても、貝はどんどん増えていき、海岸をピンク色に染めていきました。もう、どうにもならない。お妃様は、ひざをついて海を見つめました。自分の中から湧き出たこの貝の山が、まるで、心の奥のなにかを映し出しているようで……怖かったのです。

──そのときです。
西の空に、夕日が沈み始めました。海に広がるピンク色の光が、貝たちの色と響き合い、まるで海全体が、ひとつの宝石のように輝き始めたのです。お妃様は、思わずその景色に見入ってしまいました。息をのむような、優しい、優しい光景。他の人魚たちも、波打ち際に集まってきて、そっと貝を手にとりました。気づけば、誰もが静かに息をのんでいました。

「……なんだか、懐かしい感じがしない?」
「わたし、小さかったころ、こんな気持ちを知ってた気がする……」
「まるで……胸の奥にあったやわらかい場所を、思い出したみたい」
「この貝ってこんなに美しかったんだね。こんなふうに、たくさん輝いて……波に揺れてるなんて、不思議だね」

お妃様は、何も言えずに、ただその光景を見つめていました。そして、小さくつぶやきました。

「わたしは……何か、とてもいけないことをしてしまったと思っていたのに……こんなにも、嬉しい気持ちになるなんて……」

一人の人魚が、微笑んで言いました。

「なんて綺麗なのかしら、これは王妃様がやってくださったんですか?ありがとうございます! 」
「いいえ、私は失敗してしまったのよ、私の不注意でこの貝をこんなに増やしてしまって、本当にごめんなさい」
「そうでしょうか、確かにこの貝はみんなに嫌われていたけど、でも、こんなに綺麗だったなんて、気づかなかった。こんなふうに輝く姿を見せてくれて、ありがとうございます、王妃様。」
「誰も気づかなかった美しさを、見せてくれたのは……王妃様だったんですね」

やがて、この海岸に一人、また一人と、人魚たちがやってくるようになりました。人魚たちは言いました。

「この貝、好きよ。とても美しいわ」
「自分に優しくしようっていう気持ちになるの」

お妃様はその声を、ただ静かに聞いていました。そして、ようやく気づいたのです。

「ダメだと思っていたこの貝は、自分の中で、ずっと見ないふりをしていた私自身だったのかもしれない。」

でも、そこに美しさを見出すことができるのだ……

ここは、今も変わらず、誰のことも否定しない。どんな心も、そのままそっと受けとめてくれる、やさしさの海岸と言われるようになりました。

──ピンクの貝たちは今も、静かにささやいています。
「あなたはどんなあなたでもいいのよ」

アンダラクリスタル ミルキーピンク

今回は「石」と「絵」のセット販売です。「絵」と一緒に「石」もお届け致します。

  • 石サイズ:直径約3.5×2.5cm
  • 店:Maura
  • 絵サイズ:7×7cm
  • 額サイズ:9.5×9.5cm
  • 43,500円(税込・送料・額代込)

       

    関連記事

    PAGE TOP
    error: Content is protected !!